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お客様導入事例 国立大学法人九州大学病院様

生命管理のインフラを支えるノーテルのスイッチ

九州大学病院の手術部では、患者本位の医療を目指す「CCC(クリティカルケアセンター)構想」を実現するため、ノーテルのスイッチを導入。10Gbpsをコアとする堅牢なネットワークを構築した。ここでは、最新の医療情報共有を実現するネットワークの実現までを追っていく。

*2007年6月時点の情報です。

国立大学法人九州大学病院様

高橋成輔氏白石公徳氏姉崎博志氏松本亮弘氏

患者本位の医療を実現する医療情報共有の新しい形

2001年の厚生労働省のガイドライン発表以来、医療の現場では、すさまじい勢いでIT化が進んでいる。カルテやレセプト(診療報酬明細書)の電子化を中心に、検査内容や処方箋のオーダリング、医療会計や医用画像の管理など、今まで紙で行なっていた処理をコンピュータで管理するというのが大きな流れになっている。

これに対して九州大学病院の手術部が構築したのは、医療機器同士をつなぎ、患者のバイタルサインや画像データ・超音波映像などを一元管理する新しいタイプの医療情報共有システムである。

この医療情報共有システムの背景には、九州大学大学院医学研究院の高橋成輔教授(現国立病院機構九州医療センター病院長)が20年来唱え続けているCCC構想がある。高橋氏は「端的にいえば、全診療科にまたがる横断的な生命管理のインフラです。患者がまず病院に来たら、主治医が待っている。主治医がその患者について、どれだけの症状か、生命への危険性はどうかなど総合的評価をし、必要な専門医を決め診てもらう。“専門性に名を借りたたらい回し”にならないよう、主治医がしっかりコーディネーターとなって話をし、患者はその主治医と相談しながら治療を進めていくのです。一人の患者を主治医とそれを支える背後の専門医で見守っていく。それがCCC構想の趣旨です」とCCC構想を説明する。つまり、細分化・専門化を続ける医療の分野にあって、生命管理を中心においた総合医療との調和をはかり、適切な治療を施すための知恵を生みだす情報共有システムとも呼べるものだ。

これを実現する手段の1つとして、前述のような患者のバイタルサインや高画質X線画像、超音波画像データなどをネットワークで伝送し、コンピュータ上で一元管理する仕組みが必要になってくる。

高い可用性を実現するSMLTとサポートする人的体制が決め手

この医療情報共有システムを実現するために、九大病院では新病棟の建築とタイミングを合わせてネットワークが敷設された。2002年の新病院1期棟(南棟)開院、2006年の2期棟(北棟)の開院に合わせて構築されたネットワークで採用されたのが「Nortel Ethernet Routing Switch(ERS)シリーズ」である。

導入されたのは、シャーシ型スイッチ「ERS 8600」8台と、レイヤ3スイッチ「ERS 5000シリーズ」29台、「ERS 3510シリーズ」120台である。先に建った南棟で2002年3月に第1期の作業が完了。8Gbpsのバックボーンをベースに、末端100Mbpsのネットワークであった。そして、2006年の構築完了後では、コアスイッチ間では10Gbpsという大容量の伝送能力を実現しており、全ポート数2880にも及ぶ大規模なネットワークになっている。

ERSシリーズが選定された理由はベイ・ネットワークス(現ノーテル)時代からの実績や適正な価格、高い伝送能力などいくつかある。しかし、最大の理由はノーテル独自の「SMLT(Split Multi Link Trunking)」により、バイタルサインのような生命情報を伝送するネットワークの可用性と拡張性を高められる点だ。

ネットワーク構築と運用保守を手がける住友電設の姉﨑博志氏は「冗長化を確保するため、2002年に導入した南棟のERSではSTP(スパニングツリープロトコル)を採用していました。しかし、北棟での導入に際しては、STPだけではなく、高速なRSTPやその他の冗長化技術も検討するため、富士ゼロックスさんやノーテルさんにおねがいして資料等も作ってもらいました。その結果、切り替えや切り戻しが1秒未満で実現でき、さらに2つの経路が両方アクティブで利用できるSMLTを使えるノーテル製品を全面導入することにしました」と経緯を述べている。コア、ディストリビューション、エッジという3段構成のネットワークはSMLTやDMLTでフルに冗長化が施されており、どのスイッチやリンクがダウンしても、通信は継続される。

もちろん、冗長化の仕組みだけではなく、それを支える人的な体制もきわめて重要だ。システム構築・運用保守を請け負ったエーシーケーの松本亮弘氏によると「製品選定の段階では、弊社も住友電設さんも、医療環境で利用するネットワーク機器のノウハウがありませんでした。そこで、システムのクオリティを保つためにはどうしたらよいか、いっしょに勉強していくパートナーが必要だったのです。そこで、一番熱心にやっていただいたのが、ERSシリーズを提供しているノーテルさんと販売を行なっている富士ゼロックスさんでした」とのことだ。

2つの病棟でのネットワーク統合が作業の最大の重要課題

導入作業に際しては、やはり人命を預かるネットワークだけに、念には念を入れた計画が必要だったようだ。「今動いている南棟と新設の北棟を統合するに当たって、ネットワークを停止する必要性が何回かありました。その際、停止時間を最低限にするための病院運営との連携が一番難しかったですね」(松本氏)とのこと。全病院規模での通達はもちろん、各フロアの医師や師長、スタッフとスケジュールをすりあわせ、万が一の場合に備え、医療機器メーカーや重症患者を抱える医師や看護師などとも対応を協議したという。その一方で、エーシーケー、住友電設、富士ゼロックスの3社で技術検証や設定確認などを入念に行なった。こうした準備のおかげもあり、当日も無事に作業を完了した。

新ネットワークは、すでに安定運用を続けており、バイタルサインモニタによる監視や診療情報・検査データ、画像情報データ等の情報共有が実現されている。

こうした最新鋭の超高速ネットワークを導入したことについて、高橋教授と二人三脚でCCC構想の実現を手がけてきた手術部の白石公徳氏は「2000年当時、ネットワークとは単なる線でありつなげば良いのだろうという考えの人がほとんどで、医療情報の専門家でさえ、結果としてその時点で導入した高速スイッチなどは必要ないという答えでした。しかし、私はネットワークをきちんと導入しなければ、電子化は成功しないといい続けてきました」という強い信念を語っている。

今後はCCC構想をより具体化するため、手術画像の配信や地域医療の連携なども進めていくとのこと。今回構築したネットワークを基盤に、新しい医療を実現するためのチャレンジが続いていく。

※本記事は(株)アスキー発行「ネットワークマガジン」の2007年7月号の記事を抜粋したものです。 無断転載・複製を禁止します。

九大病院の新ネットワーク概要図

販売代理店 富士ゼロックス株式会社
開発元 ノーテルネットワークス株式会社
関連製品 Nortel Ethernet Routing Switch Series

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